僕のADD(注意欠陥障害)の症状:こども時代編
大人になってからのADD/ADHDの症状を先日は記載しましたが、今回はそんな人物が、子供時代はどのような症状があったのか、振り返ってみたいと思います。
もちろん、当時はADD/ADHDや発達障害という言葉はなかったですし、私がそれに該当するとは、両親も知らなかったと思います。
ADD/ADHDのお子様を持つお父さん・お母さん達の参考になれば幸いです。
僕の子供時代の症状の特徴
私の場合、症状は大きく以下の3つに分類できると思っています
- 整理整頓ができない:忘れ物、失くし物が多い
- 集中力に欠ける: 授業や作業に飽きてぼーっとする、
- 運動が苦手: 体育はもとより、手先を使う図工・音楽・家庭科等が苦手
もちろん、上記の傾向は、相互に連関しているはずです。例えば「先生の話に集中できないので忘れ物をする」「感覚を研ぎ澄ましていないので、運動ができない」等…
以下では、通知表と記憶を頼りに、具体的な状況をお示しします。
通知表での表現
まず、客観的な資料として小学校時代の通知表を頼りに振り返ってみたいと思います
「学習の記録」欄
国語・算数・理科・社会
全般的に平均~良いの水準を維持していました
- 低学年時は(帰国子女であったため)文字が読めない、言葉が若干不自由だったこともあり、少し遅れていました
- 中学年~高学年では、成績は良好でした。本が好きだったことや、高学年から塾に通ったことも要因だと思います
音楽、図工、体育、家庭科
全般的に平均以下のレベルでした
- 特に運動と音楽はだめでした
- 図工については、工作は苦手でしたが、絵を描くのは好きで、評価されてとても自信になったことを覚えています
「行動および性格の記録」欄
下記の項目では、ほぼ全学年にわたって、最低評価(3段階中)が続いていました
- 整理・整頓
- 基本的な生活習慣
- 根気強さ
記憶に残っているのは、学校での自分の机が汚かったこと。プリント類を机の中に大量に押し込んでいて、席替えの時や期末のときに取り出すのが恥ずかしかったことを覚えています
先生からのコメント欄
先生もよく見ているんですね。同じようなことが繰り返し書かれています。コメントを抜粋します
低学年時:
- 助言しながら(作業を)させると実に良くできるが、ちょっと目を放すと、何をどうしていいか戸惑っています
- 毎朝歌う歌の歌詞が覚えられないこと、毎朝吹くハーモニカの曲が吹けるようにならないのは不思議です
中学年時:
- 理解力があるが、集中力に欠けていて、最後まで思考を深めることができません
- 根気強さにかけ、作業が雑です
- ちょっと複雑になると投げてぼーっとしていることが多いです。本気で取り組まないとこのままで停滞しそうです
- 勉強への取り掛かりは、最初のうちはとても良いのですが、長続きしません
高学年時:
- 身の回りの整理整頓ができていません
- 知識や理解力はついているが、精神的に幼く集中力に欠けるのが残念です
- 身の回りの整理整頓が出来ず、常に落とし物になっています
- 学用品の忘れ物が目立ちました
- 休み明けはたいへん疲れており、集中のなさも気になりました
記憶の中での症状
通知表に記載されていないことで、私が覚えていることを挙げてみたいと思います。
- 朝が苦手。週末などは、朝かなり遅くまで寝ていた
- 小学校四年生頃まで夜尿症があった
- 絵画の授業は好きだったが、授業の途中で飽きるのか、筆洗バケツに絵具を混ぜて様々な色水を作る作業に夢中になっていた
- 絵具のパレットは、洗わずにしまっていたのか、カビだらけ、絵具が垂れてぐちゃぐちゃということがあった
- 上述のように、机の中は、プリント類をぎゅうぎゅうに詰め込んでいた
- 本が好きで、本屋さんで何時間も立ち読みし、何冊か読み終わるまでずっといた
- 車酔いがあり、バス遠足などでは毎回酔った
- 少しぽっちゃり気味の体格だった
また、中高生以降では、以下のような特徴があった気がします
- 集団行動が苦手。合宿、修学旅行、運動会、遠足といったものが苦手で、社会人になってからもあまり行きたくない。(参加したら参加したで、何とかなる)
- 食後は眠くなる。大学受験時も、昼食を摂るとテスト中でも睡魔が襲うため、ごく少量のみを食べることにしていた
振り返ってみて思うこと
過去を振り返ってみると、いくつか「こうすればよかった」「こうしたのが良かった」と思うことがあります。私は専門家ではないのですが、同様の症状のお子様を持つ親御さんの参考になればと思います。
子供を責めない
「なぜ、ちゃんとできないの?」と子供を責めないでください。本人にも分からないのだと思います。
また、気合や頑張りに期待しないでください。そういう種類の問題じゃないのだと理解してください。
環境づくり・仕組みづくりを手伝う
まず、自分の子供が何を苦手としているかをきちんと把握・理解して下さい。
本人に聞いても、本人は「きちんとした状態」が何かわからないので、親が一緒に考えてあげることが大事です。その上で、苦手な状況を克服できるような仕組みを構築してください
- 忘れ物が多いなら、チェックリストを用意する
- チェックリストを確認するルーティーンを日常に入れる
- 教科毎に持ち物をパッケージ化する、等…
いずれも、気合や頑張りに期待するのではなく、その手続きを経ないと物事が進まないような仕組みを考える必要があります(極力、楽しい感じに)
好きなことを存分にやらせる
ADD/ADHDの強みは、没頭した時の爆発力です。私も、本が好きで寝る間を惜しんで本を読み続けました。そのおかげで、そういうのを見つけてあげてください。
- 本が好きなら、本をたくさん与える
- コンピューターでも、漫画でも、アニメでも同様
- おもちゃでの遊びでも同様
一方で、自分で区切りをつけさせる習慣もつけさせる必要がありそうです。集中していると、何も聞こえない・見えない状態になるので、事前にルールを決めたうえで、時間になったら終了させるなどがあるといいかなと思います。
没頭できる仕組みづくり
本人が、どのような状況だと没頭するスイッチが入るのかを研究することも重要です。
私の場合、
- 比較的短時間で自分の作業が進捗・ステップアップしているというフィードバックがあること
- 進捗に比例して、次々と新しい事象が展開していく状況
などで、没頭する傾向があると感じています。
あまり長期な目標だけで気合と根性に頼るのではなく、勉強、習い事等の作業プロセスを丁寧に細切れにして、自分の進捗・成長が常時フィードバックされている感じを作り出してあげてください
身体を動かす
スポーツは、自分がやっていればよかったと思う最大のポイントです。大人になってみて感じるのですが、身体を動かすことで、
- 脳をはじめ身体全体に血がめぐって、感覚が冴える
- 集中力を養う
- 身体のコントロール能力を培う
- チームメンバーとのコミュニケーション能力を養う
といった効果を期待できます。
小学校でやらないと、中学・高校でも運動をせず、大学でも中途半端になり、社会人になっても、スポーツをする機会が遠のいてしまいます。
最後に
以前も書きましたが、振り返ってみると、結構心配な症状が出ていたんですね。
でも、必ずしも、「ほかの子と同じ」であることが、「本人が幸せになること」ではないですし、将来成功する要因でもないと思っています。
最低限の適応力をつけてあげて、そのうえで、強みを伸ばしてあげるということが大事なんだと思います。
何事も「差別化」が大事です。その芽を摘むことのないようにしてあげられればなと思います。